解熱剤(熱さまし)、鎮痛剤(痛みどめ)ってどれがいいの??

市販薬

※本投稿は健康な成人を対象としたもので、妊婦の方などは対象としておりません。またイメージのためリンクは貼っていますが特定の薬剤を推奨したり禁止するものではありません。薬局の薬剤師にもご相談し、用法用量を守ってお使いください。

熱が出てしんどい、風邪かな??インフルエンザかな??コロナかな??怪我をして痛い、抜歯したけど薬が足りない。。。など色々あるかと思いますので、つらつらと書いていきます。

基本は副作用の少ないアセトアミノフェンを考慮することが多い

市販の内服薬で入手できるものとしてはアセトアミノフェンとNSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs=非ステロイド性抗炎症薬)に大別されます。

前者はカロナール®︎などとして有名で、コロナにかかってお世話になった方も多いのではないでしょうか。炎症自体を抑えるわけではありません。

後者については、エヌセイズと発音しますが、要はステロイドちゃいますけど抗炎症薬でっせということですね。まあいわゆるロキソニン®︎の類のことです。漫然と飲み続けると胃潰瘍の原因になったり、腎臓がダメージを負ったりなど意外と侮れないので注意が必要です。

特に発熱に関しては小職はアセトアミノフェン一択にしますね。

実際の薬剤について

アセトアミノフェン(カロナール®︎)

用量を守れば比較的安全に使えるので、小職自身、外来でも病棟でもよく処方します。

病院に行けば点滴もあるのですが、腸からほぼ100%吸収されるので腸に問題がなければですが、基本的には内服で十分だと思います。

一方で痛みについてはイマイチ…という感想をお持ちの患者さんにも時々出会います。

あとは安全と言っても用量を守らないと結構危険な薬だということも言及しておく必要がありますね。

市販なら1500mg/日を超えないのが無難、製品によってはより厳しい記載も

欧米では1回量上限1000mg、1日4000mgまで安全とされ、日本でもこれに準拠している記載はあるものの、小職はここまでの量をなかなか処方しません。

市販で飲むなら、肝臓に問題がないと仮定して、30kgであれば400mg、40kg以上であれば500mgを1回最大量の目安として1500mg/日くらいで収めると言うのが無難でしょうね。

それ以上の量を継続して内服する場合は採血をした方が良いと言うことになっているみたいです。これも製品によってはより厳しい記載がありますが。(まあ少々不自由な縛りだなと思わんではないですけど、この場ではこれ以上は言えない。。。)

それでも肝障害のある患者さんでは添付文書の量でも安全とは言い切れないんですよね。ご心配であれば購入前に是非薬剤師の先生にも相談してみてください。

発熱には1回300−500mgが目安、痛みには少なすぎると効かないかも

熱に関しては比較的少なめの量でも30−60分で効いてくる印象があります。

1500mg/日を一つの目安とすると、体重にもよりますが1回量は300mgを4回までとか、500mgを3回までとかそういった感じでしょうか。熱に関しては市販で使う範囲でもそんなに不自由ないかなと思います。

痛みについては「この薬私には全く効かないのよ〜。」と仰る60kgくらいの患者さん、よくよく聞くと一回200mgとか300mgしか飲んでいないということも。。。これじゃあ流石に効きませんね。そういう患者さんの場合は上記を目安に「それはもしかしたら少なすぎたのかもしれません。500mgで試してみましょう。」とか言って使ってみると効くこともしばしば。

病院だと採血ありきで適切な量に調整すれば「効く薬だったんですね。」とおっしゃることもありますので、「効かないからいらない!」となるのは勿体無いなあと思います。

しかし自身でどんどん増やして使うのはお勧めしませんが。

大量に飲むのは危険…!欧米では肝不全の原因としても有名

確かに安全な部類な薬だと思うのですが、痛いからと言って、常軌を逸した量を飲むと本当に危険です。一部は肝不全を起こすことがあります。

腎臓は最悪の場合、透析という最終手段がありますが、肝臓は最悪、移植するしかありませんし、そんな簡単なものでもないでしょう。まあ透析も大変ですけどね。

欧米では薬物による急性肝不全の原因としては一番頻度が高いようです(J Clin Gastroenterol. 2001 Sep;33(3):191-8)。

特に肝疾患がある方、アルコール多飲がある方などは場合によっては添付文書記載の量でもリスクはあるとされているので、病院でまずは処方してもらうことですね。

じゃあアセトアミノフェンを飲んでも痛かったらどうすのかって?まあ量を調節したり、他の薬に切り替えたり、あるいは併用したりするのですが、ケースバイケースですので少なくとも初回はちゃんと受診した方がいいでしょう。

総合風邪薬などにも含まれているアセトアミノフェン

この薬よくよく見るといろんな薬に含まれています。お分かりのように、色々入っている薬はとても管理がしづらく、複数の薬を飲んだ時にうっかりたくさん飲んでいた。。。と言う事態にもなりかねません。そう言う意味でも単剤の製品をお勧めします。

・1錠100mg


・1錠300mg


NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 漫然と飲んではイ.ケ.ナ.イ

前述では触れませんでしたがアセトアミノフェンは主に脳に働きかけて熱であったり、痛みを抑えたりする働きがあります。炎症そのものを抑えるわけではありません。

一方このNSAIDsという薬は、体の至るところで痛みに関わる酵素の働きを妨げることで炎症を抑えます(抗炎症作用)。その結果熱が下がったり、痛みが和らいだりします。

何が言いたいかというと、色々なところに作用する分、色々副作用も起きやすいんだってことですね。ちなみに局所の虫刺されのような炎症には効きません。

若くて健康でも漫然と飲むのは胃潰瘍や腎障害の原因になり得ます。ここの趣旨から外れますが妊婦には避けますし、子供の熱も例えばインフルエンザ脳症のリスクを考えると使いたくない。。。正直持病がある人に軽々しく出せるものではありません。ましてや真っ当な診断もなくこういう類の薬を飲み続けるのは考えものです!

よくある湿布製剤などはこの薬が塗られています。まあ局所的に使った方が副作用は少ないんでしょうし、湿布で済むならその方が無難かもしれませんね。

ロキソプロフェン(ロキソニン®︎)

日本で開発された薬で、短時間で効き数時間で効果がなくなる、いわゆるキレの良い薬です。30分から60分くらいで効いてくる印象があります。

小職は基本的にあえて解熱剤としては使いません。1回60mg1日3回まで飲めますが、まあ痛いときだけ飲むというのが無難でしょうね。

数日以上内服する場合は、病院であればプロトンポンプ阻害薬と呼ばれる胃酸を抑える薬と一緒に出すこともありますが、さっさと辞めるに限ります。

ちなみに胃に優しいと言う成分が入った製剤がありますが、個人的にはあまりそういった文言はあてにせず、長く飲む薬ではないんだという理解のもと、さっさと辞めるのがいいと思います。しつこいようですが。笑

短期的に痛み止めとして使うことがほとんどで、まあ例として疾患を挙げるなら痛風や、片頭痛などアセトアミノフェンではちょっと難しい場合でしょうか。ある程度の年齢で、特に使えない理由が無ければ検討する感じでしょう。

余談ですが、痛風って関節内で尿酸が結晶になって、それに白血球(好中球)が反応して炎症が起きることで発症します。痛風に対してはアセトアミノフェンは本当に対症療法になってしまうというか、これはあくまで脳に働きかける薬ですので炎症が治るわけではないんですね。そんな時はロキソニンを使うと関節内で炎症を鎮めてくれるので、比較的若くて元々病気のない方にはいい適応かもしれません。


イブプロフェン

正直な話、個人的には病院で処方されているところを見たことがありません。

血中の濃度が高まるのにはロキソニンよりは時間がかかるようですが、小職は処方したことがないので現場の感覚もよくわかりません。

薬局ではロキソプロフェンよりは昔から取り扱われているらしいです。

しかし、ロキソプロフェンではなくこっちを使う理由ってなんだろう、用量が調整しやすいから?使用感は人それぞれですし、効くと思う方を使うのがいいと思います。

結構市販薬では他の成分も入っているのですが、単剤のものもあるみたいですね。


コメント

タイトルとURLをコピーしました